多くの職員がハラスメントに悩んでいる一方で、組織としてハラスメント対策に積極的な姿勢を見せているところは残念ながらそこまで多くありません。ハラスメントを未然に防ぐための組織体制や、ハラスメントが起こってしまったときにすぐに対応できる体制の整備が求められています。
2012年に厚生労働省が行ったパワハラの実態調査から、パワハラが横行している職場には共通する特徴があることがわかりました。まず、残業が多く休みが取れない、そして上司と部下のコミュニケーションが少ない、また、仕事での失敗が許されない雰囲気がある、といった傾向があります。施設の管理者はパワハラが起こらないように現場の職員とコミュニケーションをとりながら、職場の雰囲気や職員の様子をチェックする必要があります。介護職員が心身ともにストレスなく働いていけるように、組織としての取り組みが大切になります。
では具体的に、どのような取り組みが求められるのでしょうか?ハラスメントに悩む職員の多くは、「ハラスメントに対するガイドラインを整備して、過去の事例の検証を行いハラスメントの範囲を定め、ガイドラインに抵触した際にはしかるべき対応を取るべきだ」と考えています。2015年に厚生労働省から発行された「パワーハラスメント対策導入マニュアル」には、パワハラ対策において具体的に取り組むべき7つの項目が記されています。ガイドラインを作成する場合、その内容は組織ごとで細かく異なるかと思いますが、基本的な内容はこれに沿って作成していくことになるでしょう。
まず、予防のための取り組みとして「トップのメッセージ」を発信していくことが大切です。施設のトップからハラスメント対策の方針を伝えていきます。次に「ルール」を決定しましょう。労使協定などでルールを明確化し、具体的なマニュアルを作成します。
そして「実態の調査」も重要です。早い段階で職場の実態を把握し、スムーズに対策を実施できるようにしましょう。また「教育」も重要な取り組みのひとつです。研修の実施はハラスメントの予防において非常に効果的なので、定期的に実施していくことが望まれます。また、定めた方針やルール、相談窓口などをしっかり「周知」することも大切です。
次にハラスメントが発生した際の解決への取り組みですが、「相談や解決の場を提供」し、被害者のプライバシーを守りながら解決へと導きます。そして、「再発防止の取り組み」をしていきます。一時的な解決ではなく。今後のことを考えた対応策の見直しなどが必要になってきます。
これらが、組織として求められる取り組みになります。以下に、ハラスメントの線引きについて知ることができる書籍を紹介します。ガイドラインを作成する際の参考にもなるでしょう。
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